作家紹介

「竜人、お前は画家になれ。」
その言葉から、すべてが始まりました。
一級建築士として人生の道を築いてきたはずの彼に、
ある日、師から告げられた突然のひと言。
その瞬間、封印していた記憶が静かに開かれていったのです。
そういえば、自分の血のどこかに、
色を生きる者の記憶が流れていました。
祖父は、画家でした。
一緒に暮らしたわけではありません。
けれど、遠くにあるはずの世界なのに、
なぜか「絵」は、胸の奥にひっそりと灯がともるような感覚があったのです。
色の重なりに、言葉のない感情を感じ、
絵の中には、何か“生きているもの”が宿っている気がしていました。
色には、感情があります。
線には、意志があります。
それは、まだ言葉を知らなかった自分が、
いちばん先に出会った“表現”だったのです。
その後、「創る」という衝動は建築という形へと流れ、
一級建築士として、人と空間の関係性を追求する日々が始まりました。
しかし、図面の上にはどうしても描けなかったものがありました。
̶̶“いのちそのもの”の輝きです。
それは、いつもその先にあるように感じられました。
「人は、どうすれば本当に幸せに生きられるのか?」
その問いが胸の奥に芽生えたとき、
彼の関心は「空間」ではなく「魂」へと向かいはじめます。
建築ではなく、“命”を感じたい。
そうしてたどり着いたのが、絵の世界でした。
彼が描くのは、風景ではありません。
魂の色です。
形ではなく、内なる叡智の象徴としての“龍”。
龍は、太古から自然界と人の魂をつなぐ存在です。
そのエネルギーに導かれるように、
竜の姿を通して「魂の眩き光」を描く日々が始まりました。
竜人の描く龍は、生きています。
ときに語りかけ、
あなたの中に眠る光を思い出させてくれます。
それは、あなた自身の“目覚め”の物語でもあるのです。